社会の授業づくり

社会
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先輩の先生方からは、先を見通して授業を考えなさいと言われました。しかし、学年の仕事、担任としての仕事、部活指導などやることが多く、次の日の授業準備で精一杯でした。教師において一番力を入れないといけないのは教科指導です。忙しくても、単元ごとの準備ができると良いです、

単元ごとの準備をしよう

単元とは?

単元とは、”ひとまとまり”のこと。単元ごとに授業構成を考えることで、何を教えるべきなのかが明確になります。大単元、中単元、小単元があります。歴史を例にしてみましょう。右のページは東京書籍の『新しい社会 歴史』の目次です。
大単元…古代までの日本
中単元…世界の古代文明と宗教のおこり
小単元…教科書見開き1ページの内容 1人類の出現と進化

大単元を大きく理解して、中単元で準備をしていくことがおすすめです。

単元でなにを教えるべきか

【古代までの日本】の流れ大きく理解しましょう。一番の基になるのは学習指導要領学習指導要領の解説を見ることです。

B 近世までの日本とアジア ←大大単元
(1)古代までの日本 ←大単元
人類のおこりや文明の発生から 12 世紀ごろまでの歴史を扱い,我が国の古代までの特色を,世界の動きとの関連を踏まえて課題を追究したり解決したりする活動を通して学習することをねらいとしている。この時期の我が国では,農耕・牧畜が始まって文明がおこり国家が形成されていったという世界の動きの中で,特に東アジアと深い関わりをもちながら,狩猟・採集を行っていた人々が栽培を取り入れ,やがて大陸から本格的な農耕を急速に取り入れた後,農耕の広まりによる生活の変化,国家の形成と発展,天皇・貴族による政治の展開,文化の発展などの動きが見られた。

学習指導要領解説

大きな流れを理解したうえで、中単元【世界の古代文明と宗教のおこり】の部分を学習指導要領解説で確認しましょう。

世界の古代文明や宗教のおこり
世界の古代文明や宗教のおこりを基に,世界の各地で文明が築かれたことを理解すること。
<内容の取扱い>
「世界の古代文明」については,人類の出現にも触れ,中国の文明をはじめとして諸文明の特徴を取り扱い,生活技術の発達,文字の使用,国家のおこりと発展などの共通する特徴に気付かせるようにすること。また,ギリシャ・ローマの文明について,政治制度など民主政治の来歴の観点から取り扱うこと。「宗教のおこり」については,仏教,キリスト教,イスラム教などを取り上げ,古代の文明とともに大きく捉えさせるようにすること。

学習指導要領解説

学習指導要領をもとに、理解させるべきことをまとめる

中単元<世界の古代文明や宗教のおこり>で理解させるべきこと
・古代文明や宗教が起こった場所・文明や宗教の特徴を理解させる。
・農耕・牧畜が始まって文明がおこり発展していったことを理解させる。

小単元で理解させるべきこと
①人類の出現と進化
・人類が進化してきた過程や特徴を理解させる。
②古代の文明のおこりと発展
・農耕や牧畜によって生活が変化し、文明がおこったことに気づかせる。
・各文明の特色を理解させる。
③中国文明の発展
・日本に大きな影響を与えた中国の古代文明の特色を理解させる。
④ギリシャ・ローマの文明
・ギリシャ・ローマの文化と政治や社会の仕組みについて理解させる。
⑤宗教のおこりと三大宗教
・文明の発展とともに宗教がおこったこと、三大宗教の特徴を理解させる。

授業づくり

学習課題を考える

1つの小単元(基本的に1回の授業)で何を理解させたいのかを明確にした上で学習課題を設定します。学習課題とは、生徒がこの時間で何を学ぶのかをわかりやすい文章で提示することです。教師の立場から言うと、この授業で理解させたいことを疑問形にして提示することです。疑問形(なぜ~、どうして~、?)にすると、生徒たちは自分の言葉で学習課題に対する答えが書きやすくなります。

授業の終わりに学習課題に対するまとめ(何を学んだのか)を自分の言葉でさせ、理解を深めます。

小単元…古代の文明のおこりと発展

授業を通して理解させること…農耕や牧畜をするために人々が川の近くに集まり、集団生活をしていく中で、王などの身分や文字、神殿といった建造物などの文明が起こったことを理解させる。

学習課題…なぜ文明がおこったのだろうか

学習課題は生徒の言葉で出させるように導く

「今日勉強することは…」と言って黒板に学習課題を書くことは簡単です。

学習指導要領にあるように、主体的な学びをしていくためには、生徒が「学びたい!」と思うような授業をしていかなくてはなりません。そこで、学習課題はできるだけ生徒たちの言葉で出させ、授業を展開していきましょう。

先生 エジプトのスフィンクスの写真を見せる
先生 スフィンクスのなぞなぞを提示する「朝は4本、昼は2本、夕方は3本、これ何?」
生徒 「人間!理由は…」
先生 「正解です。正解できなければスフィンクスに食べられてしまいます。」
   「スフィンクスはピラミッドを守っているそうです。」
   「さて、ピラミッドはどこにあるでしょうか?地図帳でエジプトを探してください。」
   「今から約5000年前、エジプトでピラミッドが作られました。」
   「700万年前に誕生した人類は約5000年前に高度なものを作れるようになりました。」
   「文明といいます。」
   「エジプトを含めて4つの場所で文明がおこりました。教科書で見つけてください。」
生徒 「エジプト、メソポタミア、インダス、中国」
先生 「では、今日の学習課題を決めましょう」
生徒 「なぜ、文明がおこったのだろうか」

授業の組み立て方

学習課題を意識し、生徒たちが自分の言葉でまとめが書けるように展開をしていきます。
黒板に書いてあるものをそのまま写すまとめは良くありません。
●学習課題 「なぜ文明がおこったのか」
●4つの文明の共通点を探させる(川、文字、建造物、特徴的なものなど)
→知識。 主発問につながる
●なぜ川の近くで文明が栄えたのかを考えさせる
→根底は、農耕や牧畜をするために水が必要であったから。
●農耕や牧畜によって人々の生活はどう変わったと言えるのか 【主発問】
→定住、集団生活、階級や身分、文字など
 個人→班→全体(主体的・対話的な学びを通して理解を深める)
●まとめ
農耕や牧畜をするために川の近くに人々が集まるなかで、身分が生まれ、記録をとるために文字が作られるなど発展していった。

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